海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

骨・関節とマルファン症候群

 

はじめに

 

一般的にマルファン症候群は、骨や関節に問題を引き起こします。実際、これらの特徴がきっかけとなり、マルファン症候群が疑われ、診断のための受診につながることが多くあります。(骨格的特徴と呼ばれる)これらの特徴は、骨が異常に長くなったり、靭帯(関節をつなぐ結合組織)が輪ゴムのように伸びることで生じます。

 

マルファン症候群にはいくつかの骨格的特徴があります。マルファン症候群の方の多くは複数の骨格的特徴を持ちますが、すべての骨格特徴を有する人はほとんどいません。骨格的特徴については整形外科医(骨・関節の専門医)の診断を受けることが重要ではありますが、治療が必要なほど重度の骨格的特徴を持つ人はマルファン症候群の方の3分の1程度にすぎません。

  

マルファン症候群に共通する骨や関節の問題の種類

 

ここでは、マルファン症候群に共通する骨や関節の問題の種類について、いくつかの事実をご紹介します。

 

体型

 

マルファン症候群の方は通常、背が高く、ほっそりしていて、関節が緩く、柔らかくなっています(必ずしも当てはまるとは限りません)。腕や脚、指、つま先が、体幹と比較して不釣り合いに長くなる場合があります。一般人と比べて背が高いようには見えないこともありますが、家族の中では背が高くなっている場合もあります。(図1参照)。

 

治療を要するほど重度の骨格特徴を生じるのは、マルファン症候群の方の3分の1程度です。

 

全身の体型と同じように、顔が細長く見えることがあります。乳児の場合は、眼の場所が奥にあることが多く、マルファン症候群ではない同年齢の兄弟姉妹よりも老けて見えることがあります。口の天井部分(口蓋)が高くて狭く、アーチ状になっていることが多く、歯の叢生がみられます。顎(下顎)が後退していることが多く、一般的な過咬合(不正咬合)が目立つことがあります。

  

背骨の弯曲(側弯症)


側弯症とは、背骨が左右どちらかに湾曲し、椎骨(背骨の骨)がねじれている状態のことです。通常はS字や螺旋状に弯曲しています(図2参照)。背骨のどの部分にも生じますが、好発部位は上部脊柱です。 マルファン症候群の10人中6人に側弯症が認められるものの、治療を必要とするのは3人に1人です。

 

側弯症は背骨の靭帯が非常に緩くなっていることで、椎骨をしっかりと固定できないことが原因で起こります。マルファン小児が急激に成長に成長することでも、側弯症の症例が多くなると考えられ、思春期(10代)の成長ピークに伴い生じることが多くなります。

 

脊柱側弯症は、カーブの程度によって軽度から重度まであります。カーブは、椎骨と椎骨の間の角度(以降のページのレントゲン画像参照)で測定され、角度で示されます。

 

思春期でカーブが小さい場合(20度未満)、悪化する可能性は低いです。中程度のカーブ(20~40度)では、小児期または青年期に悪化する可能性が高くなります。大きなカーブ(40度超)では、ほぼ確実に小児期あるいは成人期のいずれかに悪化します。理由は、脊柱のバランスが大きく崩れている状態にあるため、重力がかかり続けることで悪化するからです。

 

通常、どの子供も、小学5年生になると学校で側弯症の検査を受けます。しかし、マルファン症候群の子供は、5年生になる前に小児科で脊柱側弯症の検査を受け、その後、毎年の健康診断の度にチェックしてもらう必要があります。この検査は、子供を前屈みにさせ、医師あるいは看護師が背中の検査をします。中学校入学時までに側弯症の兆候が見られなかった場合、おそらく人生の後半になっても側弯症が悪化することはありません。側弯症が大人になってから発症することは稀です。大人の側弯症の方は、1~3年おきに検査を受ける必要があります。

 

猫背(後弯症)

 

後弯症は横から見るとはっきりとわかります。一般的には背骨の上部は少し後方に弯曲しています。ですが、カーブが大きくなると人によっては変形や腰痛の原因になることがあります。マルファン症候群の方の弯曲は、背骨上部(胸椎)に起こる場合と背骨下部(腰椎)に起こる場合があります。

 

胸部(胸郭)の問題

 

マルファン症候群における胸部の異常で最も多い所見は、胸骨(胸骨)に関するもので、肋骨が長くなりすぎることで起こります。

 

  • 胸部陥没(漏斗胸)
    漏斗胸は、程度の差はあるものの、マルファン症候群の多くの方で認められます。また、マルファン症候群に罹患していない子供でもみられることがあります。特に背骨、心臓、または肺に異常があるようなより重度のケースでは、呼吸が障害されることがあります。このような胸骨の異常は、成人期に顕著になる傾向にあり、美容上の心配事になることもあります。

  • 胸部突出(鳩胸)
    鳩胸は、胸骨が外側に突出している(出っ張っている)状態です。マルファン症候群の方の中には、胸の片側が沈んでいて、もう一方が突出している方もいます。胸部の突出は心臓や肺を圧迫することはありませんが、美容上の問題となることがあります。

 

足の問題

 

マルファン症候群の方の足は細長くなっています。骨が異常に長かったり、靭帯が非常に緩かったりすると、足が弱くなり、立ち上がる時にかかる圧力を調整できなくなることがあります。 マルファン症候群によく見られる特徴としては、以下のようなものがあります。

 

  • 長くて細い足
  • 扁平足(非常に低い/高いアーチ)
  • 長い足指
  • ハンマートゥ・クロートゥ(足指の異常屈曲)
  • たこ(足の一部に過度の圧力がかかることによって生じる)
  • 外反母趾(足の親指付け根付近の骨の成長)
  • 弯曲した足首(足首の内側への変位)

 

マルファン症候群の方では、足の痛みが問題になることがあります。これは、足が大きいことで柔軟性のある足にストレスがかかるためです。

 

足に問題があるかどうかはともかく、主治医に足と足首を必ずチェックしてもらってください。足の専門家には、整形外科医、リハビリテーションの専門家(理学療法士)、足病医などがいます。チェックしてもらうべき項目は以下です。

 

  • 可動域(容易に、遠くまで足首や足を回すことができるか)
  • 痛みの正確な場所(ある場合)
  • 靱帯の強さ
  • 靴のフィット感
  • 走ったり、歩いたり、つま先で歩いたりするときの歩調(歩き方)

 

マルファン症候群が原因で問題を抱えている場合、以下のような質問をされることがあります。

 

  • どのくらいの期間、症状が続いているか
  • 悪化しているか
  • どのくらい深刻か
  • 一番痛むのは朝か夜か
  • 足の問題のせいで、できない活動があるか
  • 数時間立っていたり、たくさん歩いたり、何かの活動をした後で痛むか

 

その他の問題

 

  • 腰痛・手足の痛み
    マルファン症候群の方は、一般の方よりも背中や手足に痛みを感じることが多いかもしれません。原因は、緩い関節に加え、大きな身体で生活することに伴って余分な力が加わることに関係があると考えられます。

  • 脊椎症
    椎骨がその下の椎骨の上で前方に滑ることを指します。これは通常、背骨の下端付近で起こります。誰にでも起こる可能性がありますが、前方すべり症はマルファン症候群の方に多く見られます。この症状の方は通常、腰痛やこわばりがあり、前屈したときにつま先に触れることができません。非常に重篤な場合を除き、一般的に神経学的な損傷はみられません。

  • 硬膜拡張
    脊髄嚢(硬膜)の腫脹(拡張)はマルファン症候群に特有の所見です。脊髄嚢が髄液の圧力に耐えられなくなった時に起こります。多くは腰椎や仙椎の下部に発生します。実際、肥大した嚢に圧が加わり、骨盤内などの隣接する体腔に入り込むこともあります。

  • 寛骨臼突出
    マルファン症候群の方の中には、成長期に股関節窩が深くなる方がいます。これを寛骨臼突出といいます。寛骨臼とは股関節のソケットのことです。寛骨臼突出の原因はわかっていません。小児期には問題や症状は出ませんが、成人期では股関節窩が深いことで早期に関節が変化することがあり、股関節や鼠径部の痛みが生じます。この症状が現れるのはマルファン症候群の方の5%未満ですが、診断を受けた方の中には、中年期以降に人工股関節が必要となる方もいます。

 

マルファン症候群は、靭帯が緩い疾患と考えられています。しかし、主要な関節(肩、膝、足首など)の脱臼や捻挫は、一般集団よりもマルファン症候群の方で起きやすいというわけではないようです。その理由の一つとして、マルファン症候群の方は、心臓や大動脈への負荷を避けるため、激しい運動や身体をねじる運動を制限していることが挙げられます。もう一つの理由は、マルファン症候群の患者さんは、関節の主要な靭帯が弱いのではなく、多少緩んでいるだけだというものです。

 

マルファン症候群に多い骨や関節の問題の治療法

 

マルファン症候群や関連疾患における骨や関節の問題の多くは、不快感や痛みの原因となります。その他の問題は、美容上(外見上)の問題です。骨の問題を解決するために手術が推奨されることもあります。治療には以下のような選択肢があります。

 

背骨の弯曲(側弯症)

 

側弯症により腰痛や肺機能の低下、姿勢や背骨の変形などの様々な問題が生じるため、治療が推奨されることがあります。20度以上の弯曲の場合は、運動だけでは弯曲の進行を防ぐことができないため、成長期の小児や思春期児には何らかの治療が推奨されるのが一般的です。

 

側弯症の治療が必要かどうかは、弯曲の大きさや今後の成長度合いによって異なります。子供は成長するまでの期間が長いので、側弯症の治療が必要になる可能性は高くなります。側弯症となった年齢が低ければ低いほど、弯曲が大きくなる可能性が高くなります。

 

例えば、3歳未満の子供で弯曲が10度程度の場合には、後ほど治療が必要となる可能性がありますが、14歳の子供で弯曲が小さい(20度未満)場合には、治療が不要のこともあります。側弯の程度が大きい場合は、年齢によらず、ほとんどの方が治療を必要とします。

 

子供の背骨がどのくらい成長するかを測定するにはリッサースケール(リッサースコア)を使用します。この測定は、臀部の骨(骨盤)のレントゲン所見に基づいています。リッサースケールは0から5まであり、骨の成長度としては0が最も期待度が高く、5が最も低いとされています。リッサースコアが0~2の子供では、骨の成長が数年続く可能性が高く、側弯症が悪化するリスクがあります。

 

脊柱側弯症には、以下の治療法があります。

 

  • コルセット

    20度~40度の弯曲がある子供では、コルセットが推奨されることが多くなります。コルセットとは、患者に合わせて成形されたパッド入りのプラスチック製「ジャケット」で、肩から腰までの体幹にフィットし、一時的に背骨をまっすぐにして弯曲の悪化を防ぐことができます。しかし、コルセットでは永久に湾曲を矯正することはできません。コルセットを外すと背骨は徐々に以前の弯曲に戻っていきます。コルセットを装着する目的は、成長に伴って側弯が悪化しないようにすることです。

    コルセットは通常1日23時間着用し、入浴・シャワーや着替の際に外します。必要に応じて、水泳やその他の活動の際に外すこともできます。コルセットは成長が完了するまで装着します。女子の場合は通常14~15歳まで、男子の場合は16~17歳までです。コルセットはマルファン症候群の方の多くに効果がありますが、すべての方に効果があるわけではありません。大きく弯曲している場合や、悪化している場合は、コルセットを装着しても手術を避けることができません。

  • 手術

    弯曲が40度以上になると、肺の問題や腰痛、さらなる変形を防ぐために手術が推奨されます。手術が選択された場合、弯曲が進行する前に矯正する方が安全性が高く、効果的です。

    脊柱側弯症の手術では、金属の棒(ロッド)で背骨をまっすぐし、その位置で固定します。ロッドは背筋の奥深く椎骨に沿って配置されるので、ロッドを感じることはありません。ロッドにより背骨がまっすぐに固定されている間に、骨の小片が成長して背骨と癒合し、生涯にわたり背骨がまっすぐに固定されます。

    手術から回復した後もロッドの痛みを感じることはありません。背骨が成長過程にある10歳未満の子供の場合、特別な「成長するロッド」を使用することがあります。そのロッドは、子供の成長に合わせて長くなります。

    手術は後方(背中側)から行うこともあります。 弯曲が非常に大きい場合や硬くなっている場合は、前方から背骨に到達し変形した脊柱円板を取り除く前方アプローチと、後方アプローチの両方で手術を行うことがあります。

    脊柱側弯症の手術はほぼ成功します。輸血が必要になることが多くなりますが、手術の数ヶ月前に採血した血液を保存しておけば、患者さん自身の血液を輸血することができます。ロッドが緩む、背骨が癒合しない、神経が損傷するなどの合併症がまれに起こります。通常、学校や職場に復帰できるようになるまでには1~2ヶ月かかります。

    ロッドが挿入されている場合、MRI検査を受けることができるかという質問がよくありますが、どのような金属製のロッドを使用していてもMRI検査は可能です。MRI検査では、ロッドは明るく写ったり、影として写ります。チタン(金属の一種)製のロッドは最も弱い光として写ります。

 

マルファン症候群での側弯症の治療について

 

側弯症の治療方法はタイプによって異なります。最も一般的なタイプは「特発性側弯症」と呼ばれ、原因は不明です。「特発性側弯症」は、マルファン症候群による側弯症とは異なります。治療による影響については、主治医に相談してください。ここでは、知っておくと便利な事実をいくつかご紹介します。

 

  • マルファン症候群の側弯症の治療に装具を使用した場合の成功率は、特発性側弯症よりも低いです。マルファン症候群で弯曲が25度以上、リッサースコアが0~2の子供の大部分は、コルセットを使用してもいずれかの時点で手術が必要になります。

  • マルファン症候群の4人に1人の割合で、茎(椎骨の一部)が細く狭くなっています。このような場合、脊柱に配置するロッドの固定にネジを使ってもうまくいかないことがあります。その場合、他の方法でロッドを固定する必要があります。

  • マルファン症候群の方は、硬膜(髄液を保持する脊柱の周りの管)が弱くなっています。そのため、手術中に髄液が漏れるリスクが高まります。硬膜が弱っている場合、は特別な注意を払わなければなりません。

  • マルファン症候群の方は、手術後に脊柱側弯症が再発する可能性が高くなります。外科医が脊椎の大きな部分を癒合させる場合には、このようなことはあまり起こりません。

  • マルファン症候群の人は、脊柱の内部がホタテ貝のような異常な形状となっていることがあります。手術を計画する際にCTスキャンにより、この形状を把握する必要があります。

  • マルファン症候群の方の脊柱は、側方(脊柱側弯)だけでなく前方(前弯)にも弯曲していることがあるので、側弯と前弯の両方を管理できるよう手術を計画する必要があるかもしれません。

 

猫背(後弯症)

 

後弯症の治療には、側弯症と同様の治療法が用いられます。成長期の子供にはコルセットが有効な場合がありますが、高齢者あるいは重度の後弯症患者に対しては、コルセットの効果はありません。そのため患者さんは、背中の痛みを感じなくするような運動をすべきです。

 

コルセットで痛みが緩和されない場合は、手術も選択肢の一つです。側弯症の場合とほぼ同じ手術が行われますが、手術が必要となることは一般に多くありません。後弯症の方は、十分なカルシウムの摂取量を維持し、骨粗鬆症とならないように軽度の運動を心がける必要があります。骨粗鬆症により後弯症が悪化することがあります。

 

陥没した胸部(漏斗胸)

 

陥没した胸部(漏斗胸)を矯正するコルセットはありません。唯一の治療法は手術です。重度の漏斗胸を修復するに当たっては、外見上の理由の他に、医学的な理由があることが多いです。手術が必要な場合は、幼児期の中期から後期にかけて、一般小児外科医に施術してもらう必要があります。

 

手術では、胸骨と肋骨を持ち上げてまっすぐにし、金属製の棒で支えます。この手術をヌス法といいます。数日間の入院が必要ですが、成功率は高いです。4~6ヶ月後に外来での簡単な手術により、金属棒は除去されます。胸骨の形はかなり改善されますが、通常は元の形がわずかに残ります。完全に修復するには、必要以上のリスクを冒す必要があります。早期の修復により、胸骨の変形が再発することも若干あります。

  

突出した胸部(鳩胸)

 

胸部が突出している場合(鳩胸)では、コルセットにより胸骨を内側に効果的に押しこむことで、外側に成長するパターンを変えることが可能な場合もありますが、あまり行われていない方法です。手術も選択肢の一つです。

 

鳩胸のもう一つの形態に肋骨の回転がありますが、これは側湾症の影響に依るものです。通常、側弯が起きている側の肋骨は、背中側に伸びます。脊柱の手術をすることで、肋骨がまっすぐになることが多いのですが、まれに肋骨自体の手術が必要になることもあります。

 

足の問題

 

マルファン症候群や関連疾患では、足の問題に対する治療は通常必要ありません。アーチサポートによって、扁平足に土踏まずを形成することはできませんが、歩行を改善したり、不快感を軽減したりすることはできます。特殊なクッション、インソール、装具が有効な場合があります。ヒールの低い靴やヒールのない靴を履くことをお勧めします。重要なのは、様々な靴をためし履きし、履き心地の良い靴を見つけることです。

 

マルファン症候群の方のつま先は、カールしている場合もあります(クロートゥやハンマートゥ)。きつい靴を履いていると、こうした状態が悪化することがあります。

 

足の痛みは、関節炎、足の一部への圧力の集中、筋肉疲労、またはタコによって生じることがあります。温熱療法や市販の鎮痛剤(タイレノールなど)、活動の矯正などにより対処できます。

 

足の手術が必要になることはほとんどなく、手術以外の治療法を慎重に検討した上で、なされるべきです。扁平足で非常に柔軟性があることで、つま先立ちが困難な場合や、歩行中の「押し上げ」が困難な場合には、手術が必要になることがあります。手術には多くの種類があります。以下はその一部です。

 

  • 骨切り術:骨の位置を変更(再調整)して、足への圧力のかかり方を改善します。

  • 関節の癒着(関節置換術):関節炎によって引き起こされる痛みに対して行われます。このタイプの手術では、特定の関節が動かなくなるように骨の端をつなぎ合わせます。

  • 外反母趾修復術:足指の腱の位置を変えたり、足指の関節を癒合させることで、足指をまっすぐに維持するために行われます。痛みを軽減するためのみに行われるべき手術であり、足指の見た目を変えるために行われるべきではありません。

 

人工足首や足指関節については、確立した成功例はありません。

 

マルファン症候群に起因する足の問題を確実に防止することはできませんが、問題が生じる前に以下のような方法を試してみると良いでしょう。

 

  • 身長にあった体重を維持する。

  • フィットする靴を履く。インソールなどを追加する。かかとの低い靴を履く。
    種類は少ないかもしれませんが、インターネット上でこうした靴を見つけられるかもしれません。このような靴は高価であるということに注意が必要ですが、足の痛みのことを考えれば、それに見合う価値はあるとおっしゃる方は大勢います。

 

脊椎関節症

 

この疾患の方は通常、腰の痛みやこわばりがあり、前かがみになって足の指を触ることができません。非常に重篤な場合を除き、通常は神経学上の損傷はありません。治療法としては、軽度の場合は運動療法や装具による治療法がありますが、すべり症が30%を超える場合には手術も検討されます。

 

硬膜拡張

 

硬膜拡張の症状には、腰痛、灼熱感、しびれ、足の脱力感などがあります。腰痛に似た症状で、磁気共鳴画像法(MRI)やコンピュータ断層撮影法(CT)で確認されます。

 

重度の硬膜拡張の場合には、薬物療法や脊髄シャント(脊髄嚢にチューブを挿入して、脊髄の基部周辺に溜まった体液の圧力を和らげる方法)が有効な場合があります。軽度の場合は放置しておくのが最良の対処法です。

 

カイロプラクティックによる腰痛の管理

 

マルファン症候群の方向けのカイロプラクティックに関する具体的なガイドラインはなく、The Marfan Foundationもカイロプラクティックに関する公式な立場を採っていません。すべてのケースにおいて、個別評価が必要なため、完全な病歴や身体の状態を熟知している医師に相談することをお勧めします。ロイス・ディーツ症候群のような特定の結合組織疾患の方で、頚椎不安定症をお持ちの方には、カイロプラクティックの手技はお勧めできませんのでご注意ください。

 

マルファン症候群の人の中には、カイロプラクティックを受けて好意に評価している方もいますが、カイロプラクティックによる治療は慎重に検討する必要があります。カイロプラクティックを検討されている方は、マルファン症候群についての知識が豊富な施術者を見つけることをお勧めします。病歴調査と身体検査を行い、手技における矛盾点を排除した後、負荷の小さな手技から始めて、許容度に応じて治療を進めていくことになります。

 

カイロプラクティックによる治療では、主に頸椎に対する手技が懸念されています。それにより、椎骨動脈や頸動脈の解離リスクが生じる可能性があるためです。カイロプラクティックを受けるマルファン症候群の方は、この潜在的な問題について施術者に注意を促す必要があります。

 

出典:

https://marfan.org/wp-content/uploads/2021/01/bones_and_joints_in_marfan.pdf

 

The Marfan Foundation did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, Marfan.org, for materials approved by our Professional Advisory Board.

The Marfan Foundation は、当翻訳には関与しておらず、翻訳内容に関してはいかなる承認も行っておりません。このトピックに興味をお持ちの方は、Marfan.org にアクセスし、当協会の専門家から成る諮問委員会が承認した内容をご参照ください。