海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

COVID-19 ハイリスク患者と人工呼吸器

  

肺疾患および心疾患の基礎疾患のある患者はハイリスクか?

 

マルファン症候群、血管型エーラス・ダンロス症候群(VEDS)、ロイス・ディーツ症候群、および関連疾患の患者さんは、COVID-19による重篤な合併症のリスクが自動的に高くなるわけではありません。しかし、以下に挙げられている肺疾患や循環器疾患、およびその他の疾患のいずれかをお持ちの場合にはリスクが高まる可能性があります。

 

ハイリスク肺疾患

 

 

ハイリスク循環器疾患

 

  • 重度の弁逆流(症状を引き起こしたり、薬を必要としたりするもの)
  • 心不全
  • 心室機能障害(症状を引き起こしたり、頻回のモニタリングや投薬を必要とするもの)
  • 長期に及ぶ高血圧

 

その他のハイリスク疾患

 

  • ACTA2変異を有する患者で、アルギニン179を障害するACTA2変異を有する小児および若年成人のみ(平滑筋機能障害症候群と呼ばれる)高リスク
  • 慢性的な栄養失調
  • 免疫抑制剤の使用を必要とする炎症性腸疾患
  • その他、ステロイド剤などの免疫抑制剤を常用しなければならない疾患
  • 肺出血により喀血したVEDS患者がCOVID-19に感染すると、肺の合併症リスクが高くなると考えられる。

 

これらのハイリスク疾患のある方は、本来の肺機能あるいは心機能が十分でなく、COVID-19などの重篤な肺感染症による負荷がかかった際に利用できる付加的な機能(予備能力)が低下していると考えられます。このため、入院、補助酸素投与、機械的換気(人工呼吸器の使用)などの呼吸器サポートが必要となる可能性が高くなります。心臓と肺は密接に連携しており、肺へのストレスが加わることで、心臓への二次的なストレスがかかる可能性があります。そのため、心臓の基礎疾患がある方が呼吸器の感染症に罹患した場合は問題になります。担当医から、以下のような特定の基礎疾患、症状、注意事項などについての話があったかどうかで、あなたやご家族の心機能に問題があるかどうか判断できます。

 

  • 心機能を損なうほどの重度の弁逆流がある
  • 高血圧が長期間コントロールされていない
  • 心臓発作や解離による心筋の損傷がある
  • 横になると呼吸が苦しくなる
  • 運動能力や階段の上り下りなどの日常的な機能の低下
  • 心機能を改善するための薬の具体的な使用方法
  • 心臓の大きさや機能の頻繁なモニタリング(年1回以上)

 

人工呼吸器の使用

 

人工呼吸器は、フェイスマスクや鼻カニューレなどで酸素を補充しても、通常の呼吸では組織の酸素要求量に達しない方の肺機能をサポートするために使用されます。口から呼吸管を入れる(挿管)、あるいは、皮膚から直接気管に入れる(気管切開)ことにより、人工呼吸器を装着します。一般的に、人工呼吸器の装着は酸素レベルを維持できないことが確認されている場合にのみ行われます。単純に基礎疾患(結合組織疾患など)から問題が予期されるという理由で装着されるわけではありません。

 

肺がもろくなるリスクの高い結合組織疾患(マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群、血管型エーラス・ダンロス症候群など)をお持ちの方は、COVID-19で初めて病院にかかる際に、その疾患について医療チームに伝える必要があります。そうすることで、肺の拡張と酸素供給を十分に行うために人工呼吸器から肺に空気が送り込まれた際に、肺内膜が破れる(気胸と呼ばれる)可能性があることを医療スタッフが把握することができます。特に過去に何度も肺虚脱(気胸)を起こしている場合には、ご自分の疾患について必ず伝えるようにしてください。

 

重要なことは、COVID-19に罹患した患者の緊急かつ継続的なケアのために必要と考えられる場合には、患者さんあるいはご家族は人工呼吸器の使用を拒むべきではないということです。むしろ、結合組織疾患の基礎疾患があり、肺の裂傷の既往歴があるという情報を得ることで、医療チームは気胸の可能性を予測し、タイムリーに対応することができるようになります。

 

医療チームは、呼吸器の危機に陥った方をサポートするため、必要最低限の圧力と酸素量しか用いません。人工呼吸器のサポートは、状況に応じて必要な分だけ増量し、状況が許せば減量しますのでご安心ください。気胸が予測され、迅速に診断された場合は、胸腔内にたまった空気を除去するための胸部チューブを配置することによって治療することができます。人工呼吸器の目的は、肺が重篤感染症や損傷から回復するまでの呼吸のサポートであることを忘れないでください。

  

出典:

www.marfan.org

 

 

The Marfan Foundation did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, Marfan.org, for materials approved by our Professional Advisory Board.

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