海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

コナーに導かれて

2021年5月13日

Bridget Porter (Metz)

 

 

はじめに

 

2020年12月3日の午前中のこと。カリフォルニア州に住む16歳のニック・メッツは、同世代の若者たちと同様、自宅でオンライン授業を受けていました。そんな彼を無理やり引き連れ、私は病院へと駆けつけました。ニックの弟で13歳のコナーが、その日の朝早く集中治療室に搬送されていたのです。単なる背中の痛みだろう ―― 私達家族はそう思っていました。

 

ニックと共に病院に到着した私を待っていたのは、医師からの悲しい知らせでした。コナーは大動脈解離を発症しており、Marfan症候群が原因ではないかとのことでした。同時に遺伝子検査の重要性についても聞かされることになりました。その日のうちにコナーは亡くなりました。

 

後ほど、コナーはLoeys-Dietz症候群(タイプ2)であったことが判明しましたが、あまりに遅すぎる診断でした。

 

ニックの使命

 

コナーの死がきっかけとなり、ニックの生活は大きく変化しました。弟と同じ遺伝子変異があるかどうかを調べるため、彼は途方もない数の診断検査や遺伝子検査を受けることになりました。

 

幸いなことに、3ヶ月後には遺伝子検査で陰性が判明したものの、ニックの人生は一変することになります。ニックにとってはコナーの兄としての存在が大きな拠り所であり、2人は何をするにも一緒だったからです。特に新型コロナウイルスの流行が拡大してからは、絆が一層強くなったようでした。

 

高校2年のニックはグラフィック・デザインコースに在籍しており、コース終了時には作品を提出しなければなりません。彼はキャンドルとリストバンドの入るボックスを作ることにしました。今年6月に卒業するコナーの8年生(中学2年)のクラスメートらに送るキャンドルとリストバンドは、コナーへの敬意を込めて私達が既に発注していました。ニックがその学校に籍をおいていたのは、幼稚園に通えないほど幼い頃から8年生までですので、そのクラスメートらを身近に感じていました。そして彼は、コナーにとってその学校がどれほど大切なものだったかを理解していたのです。

 

希望の光に

 

ボックスのデザインはニックが担当し、制作は私が勤務するRR Donnelleyにお願いしました。

 

ニックが手作業でボックスを組み立て、中にはオーダーメイドの「コナーキャンドル」とリストバンドを入れ、コナーが私達のコミュニティーにとってのインスピレーションであり、また希望の光であり続けるようにとの願いを込め、ハッシュタグ#Connor's Big HeartとBe the Lightのメッセージを添える予定です。

 

#Connor's Big Heartとは、The Marfan Foundation主催のNorthern California Walk for Victoryでの我が家のチーム名であり、The Marfan Foundationが、コナーへの哀悼を込めて家の前に植えてくれた、群生して咲き誇る赤のポインセチアの名称でもあります。

 

ニックはsnapchatのページを作り、QRコードを使ってチームへの募金を呼びかけています。ボックスの底にもQRコードを付けました。5月12日現在、およそ3,000ドルの募金が集まり、そのうち1,000ドルはソーシャルメディアで行ったキャンペーンによるものです。

 

将来の目標

 

過去半年の経験から遺伝学に興味を持つようになったニックは、どうすれば他の家族の助けになれるかを模索しています。彼の目標は、イーグルスカウト(米国ボーイスカウトの最高ランク)を獲得し、自身のイーグルプロジェクトをコナーに捧げることです。コナーには、スピリット・オブ・イーグル(不慮の事故や病気で亡くなった20歳以下の若者に与えられる称号)が授与されたので、ニックは自身とコナーのためにイーグルプロジェクトを完遂しようとしています。

 

コナーが病院にいた際、弟を失ってしまったら家族はどうなってしまうのかという不安をあらわにしたニック。私達家族は強くなることを誓いました。コナーがいないからではありません。コナーのためにです。私達がLoeys-Dietz症候群である可能性は消えました。しかし、私達は戦い続けます。Loeys-Dietz症候群を多くの人に知ってもらうことで、コナーのような子どもたちが診断され、治療を受けられることを願って。そして、Loeys-Dietz症候群の皆さんに明るい未来がきっと訪れるように。コナーの死を乗り越えるにあたり、私達家族は、The Marfan Foundation、The Loeys-Dietz Foundation、The John Ritter Foundation for Aortic Healthに多大なる支援をいただきました。今度は私達が他のご家族の助けになりたいと思います。

 

Bridget Porter (Metz)さんについて

 

カリフォルニア州サンノゼ在住。夫はKeith Metz氏。Nicholas MetzとConnor Metzにとっての自慢の母親。マルファンコミュニティーにおいて精力的に活動するMetz家は、スカウト活動やチームスポーツに力を入れている。RR Donnelleyのグローバル・アカウント・ディレクターであることから、息子たちは地元での活動だけでなく、世界中で暮らす多くの友人、特に中国の友人たちとの交流を大切にしている。

 

出典:

blog.marfan.org  

 

The Marfan Foundation did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, Marfan.org, for materials approved by our Professional Advisory Board.

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