海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

ロイス・ディーツ症候群小児と骨密度

 

はじめに

 

ロイス・ディーツ症候群(LDS)の患者さんの中には、骨がもろいことにより、骨折リスクが高くなる方がいらっしゃいます。患者さんによって症状が異なりますので、自分に適した治療について医師に相談することが大切です。

 

なぜ骨の健康が重要か?

 

骨の健康は日常生活において大切です。毎日気に留めることはないかもしれませんが、骨の健康状態はQOLに大きく影響します。骨密度の低い骨と比べると、健康な骨は丈夫で、強い衝撃にも折れることなく耐えることができます。骨密度検査は骨の内部にある組織の量を測ります。骨密度が低下することで骨がもろくなり、骨折の可能性が高まります。骨の健康について理解し、早い時期から積極的に骨の健康改善に取り組むことで、将来の骨粗鬆症リスクや骨折リスクを低下させることができます。

 

ロイス・ディーツ症候群における骨に関するリスク因子

 

LDSでは骨がもろくなるリスクが高まります。以下のようなリスク因子があります。

 

  • 栄養不良
  • 消化管疾患およびアレルギー性疾患により生じる慢性炎症
  • 消化管疾患およびアレルギー性疾患治療のためのステロイド服用
  • 運動不足
  • 遺伝子変異による骨の形成異常

 

骨折の原因にならないような小さな出来事でも、骨のもろさにより骨折リスクが高まります。

 

LDSでは骨に関して以下がわかっています。

 

  • 手首から肘にかけての怪我が最も多い
  • 最も多い怪我の原因は転倒である
  • 14歳までの骨折リスクは50%である
  • 骨ミネラル濃度(BMD)の低下がみられる

 

DEXA法(骨密度検査)

 

骨折や骨の健康の既往について小児科医の担当医に相談すると、DXA法による検査を勧められることがあります。

 

DXA法とは、Dual-energy X-ray absorptiometry(二重エネルギーX線吸収法)の略で、子どもの骨の状態を調べる最も一般的な検査法です。DXA法が最も広く使われている理由は、被ばく量が非常に少なく、時間もほとんどかからないからです。骨に照射したX線が骨を通過するまでの時間を測定し、骨密度がわかります。DXA法は子どもに使われることは少ないため、機器を子どもの体格に合わせることのできる骨の専門医(あるいは内分泌専門医)に検査してもらうことが重要です。一般の放射線技師では子どもに合った調節ができないかもしれません。検査対象部位は、背骨あるいは頭部を除く全身としてください。子どもの場合、成人では適切とされる検査部位では正確な結果が得られません。DXA法の結果はTスコアではなく、Zスコアで算出してください。Tスコアは健康な30歳成人のBMDとの比較になり、Zスコアは年齢を考慮して調整されたBMDとの比較になります。治療効果が期待できるかを判断するため、検査結果に基づいて今後の検査頻度が決定されます。

 

食事と運動による骨の管理

 

子どもの骨の健康を管理する上で最も良い方法は、模範を示すことです。発育中の子どもの骨を最大限に丈夫にするためには、適切な栄養と運動が必要です。骨粗鬆症には治療法はありませんので、先を見据えた対策が大切です。カルシウムやビタミンDが豊富に含まれた食品を選びましょう。食事だけではカルシウムが不足している場合には、サプリメントでも構いません。担当医が高用量のカルシウムサプリメントを処方してくれることもあります。

 

以下の食品にはカルシウムが豊富に含まれます。

 

  • 牛乳
  • チーズ
  • ヨーグルト、フローズンヨーグルト
  • アーモンド
  • ケールのような葉物野菜(血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合には、食生活を変える前にINR検査が必要です)
  • カルシウム強化オレンジジュース

 

使うほどに骨は丈夫になります。衝突を伴わないスポーツに加え、体重負荷のかかる水泳のようなスポーツは骨の強化に役立ちます。ロイス・ディーツ症候群の患者さんにとって安全と考えられているようなスポーツを行うことが大切です。体重負荷のかかるスポーツだからといって、心血管系に重い負荷がかかるとは限りません。軽強度の運動であっても骨の強化に役立ちます。転倒は骨折の主な原因となっていますので、骨の強化以外にも、バランスや協調した体の動きなども考慮して運動することが大切です。

 

骨の強化に効果的な運動は以下のとおりです。

 

  • ウォーキング、ハイキング
  • フェンシング
  • テニスやサッカーなど娯楽のための適度なスポーツ

 

丈夫な骨を保つためのアドバイス

 

  • 骨密度の低下リスクを高める薬もあります。抗炎症薬は食事から吸収されるカルシウム量を低下させることがあります。アレルギーや消化管疾患のステロイド治療を行っている場合には、ステロイドの量を最小限に抑えるようにしてください。不安な場合は主治医に相談しましょう。
  • おやつにソーダを飲む場合は量を制限し、チョコレートミルクなどのカルシウムが豊富な飲み物に変えましょう。
  • 喫煙は厳禁です。喫煙の危険性については早期に教育するに越したことはありません。
  • 骨折リスクを高めるような危険なスポーツには参加させないようにしましょう。
  • スクリーンを見る時間を制限し、運動の妨げとならないようにしましょう。
  • 骨ミネラル濃度が著しく低下した子どもには、ビスフォスフォネートと呼ばれる薬剤が使われることがあります。通常、この薬は一定時間静脈に注入されます。使用にあたっては、骨の専門医の管理下で行う必要があります。

 

出典:

https://static1.squarespace.com/static/5be355670dbda39d591a525e/t/5dd30b2e0fb697248c1632c9/1574112047348/bone+health.pdf

 

The Loeys-Dietz Syndrome Foundation, a division of The Marfan Foundation, did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, loeysdietz.org.

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