海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

正確な診断は命を救う――ロイス・ディーツ症候群とマルファン症候群の違いについて

スナイデル一家の結合組織疾患との出会いは2001年に遡ります。当時インディアナ州ノーブルズビルに住んでいたトレーシーとクリスが籍を入れる前の出来事です。感謝祭の最中、クリスの父親が帰らぬ人となり、後に死因は大動脈解離と判明しました。一家は検視官からマルファン症候群の検査を受けるよう助言を受けたのです。

 

2005年、長女のエヴァリンが生まれました。数ヶ月に及ぶ耳の感染症と育児困難の末、エヴァリンには口蓋裂の診断が付きました。1歳4ヶ月で修復手術を受けたものの、母親のトレーシーにはまだ不安が残されていました。エヴァリンはしょっちゅう尿路感染症にかかり、しばしば発熱も見られました。さらに、オムツ交換などの日常的な動作の際、その小さな体からパキン、ポキポキ、パンと音がするのでした。

 

2年後、次女のオリビアが誕生しました。生まれてしばらくは、口蓋裂は見られませんでしたが、泣いたり、母乳を飲んだりしているうちに口蓋が開き、姉と同様、耳や耳管の感染症を繰り返すようになりました。

 

4歳になったエヴァは、両親が何となく予想していたとおり、マルファン症候群の検査で陰性となりました。マルファン陰性、異常な高身長、過可動性からエヴァには「詳細不明の結合組織疾患」という診断名が付きました。オリビアは、結合組織疾患に現れる外見的な特徴が見られなかったため検査対象とはならず、診断されないまましばらく時間が過ぎました。疑問が解決したのは、一家でThe Marfan Foundationの2009年度年次総会に参加したときのことでした。総会会場に設けられていた無料診療所で、娘2人と父親が検査を受け、父親のクリスに大動脈瘤が見つかったのです。

 

診療所の医師の中に偶然、バート・ロイス医師がいました。ロイス医師らは数時間かけて一家を診察し、クリス、エヴァ、オリビアの3人にロイス・ディーツ症候群の臨床診断を付けました。「病名が分かり、ホッとしました。皆、ずっと何かがおかしいと思っていたのですが、これで不安が晴れました。」と母親のトレーシーが話してくれました。

 

診断から1年後、クリスは自己弁温存大動脈基部置換術を受けました。診断を受けた3人は現在、適切なロイス・ディーツ症候群の治療を受けています。

 

口蓋裂は、ロイス・ディーツ症候群には見られる一方、マルファン症候群では見られない特徴のひとつです。鑑別の詳細については、Marfan.orgにアクセスしてください。

 

出典:『CONNECTIVE ISSUES WINTER 2019』- P19

 

The Marfan Foundation did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, Marfan.org, for materials approved by our Professional Advisory Board.

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