海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

大動脈手術の前に知っておきたかった5つのこと

2020年12月1日

Dominga Noe

 

 

はじめに

 

私が大動脈手術を受けたのは2014年夏ですが、当時は訊きたいことはそれほどありませんでした。なるべく早く終わればいいと思っていて、心臓血管外科のCraig Miller先生と循環器内科のDavid Liang先生を信頼し、任せておけば大丈夫だと安心していました。

 

手術そのものについては詳しく知りたくないという私の意思を尊重してくれたことに関しては、お二人の先生に感謝しています。ですが、後から考えてみると、前もって知っておきたかったこともあります。このブログを通じて、知っておきたかったトップ5をご紹介します。これから大動脈の手術を受ける方のお役に立てば幸いです。

 

快適さを犠牲にしない

 

心臓手術は不快なもの、というのは控えめな表現でしかありません。患者がつらい状況にある時、快適に過ごしてもらおうと病院側はベストを尽くしてくれます。でも、ゆったりとした気分で安心して過ごそうと自宅から持ち込んだグッズに勝るものはありません。お気に入りの枕やフカフカの毛布、履き心地のよいスリッパなどのグッズが、病院での時間を快適なものにしてくれます。前開きのローブやパジャマも忘れないようにしてください。前開きの服は処置をしやすくしてくれます。こうした単純なことで、ワイヤーや包帯、手術の傷による不快感が多少和らぎます。普段着ているパジャマなら、病衣よりも100倍快適であることは間違いなしです。こうしたことは一見小さなことのように思えますが、入院中は大きな助けになります。これらのグッズが、非日常的な状況に安心をもたらし、手術で傷んだ身体を癒やしてくれます。

 

味覚が変わった?!

 

味覚の変化は食べ物好きの私にとっては大きな問題です。手術後、私は食欲が無くなり、それに加え味覚が変わりました。私はゲータレードのメロン味が好きでした(理由は訊かないでください。自分でもわかりません)。入院中に母が買ってくれたのでワクワクして一口飲むと、突然感じた甘さに耐えられませんでした。ひどい味!大好物が甘ったるくなったり、塩辛くなってしまったのです。おいしいと思えたのは数種類だけ。プレーン味のアップルソースはもう一生分食べてしまったと思います。味覚と食欲がもとに戻っても、お腹いっぱいになるのが手術前よりずっと早くなり、体力を維持しなければならないのに食は細くなるばかり。しばらく経ってから健康的な食事スタイルに戻りましたが、努力の継続が必要でした。ということで、私のような食べ物マニアの方はくじけずに頑張ってください!

 

とにかく忍耐

 

手術からの回復には個人差があります。医療従事者からの助言は、経験した他の患者さんのケースに基づいたものでしかありません。広い意味では役に立つのですが、自分の身体がどのように回復していくのかについては正確な情報は得られません。傷の治り具合や疲れやすさ、運動の開始時期、栄養状態や睡眠の質が今後どうなるかということに関しては、とにかく忍耐しかありません。あまり無理をしないことです。手術は身体に負担をかけますし、その負担に対する身体の反応も人によってまちまちです。「もう回復してもいいはず」と考えがちなのですが、回復までは一本道ではないというのが本当のところです。調子がいい日もあれば、疲れてヘトヘトになる日もあります。これでいいのです。自分の経験を他の人と比較することに意味はありません。

 

ニューノーマル

 

術後気付いたのは、身体の感覚が変わったということでした。手術直後には痛みや疲れやすさを感じましたが、そのことではありません。手術で初めて傷を作ってからは、身体が心地よく感じるようになっただけではなく、感じ方が変わったのです。はっきりと言葉で表現することはできないのですが、手術という大きな変化を経験したことで、これまで慣れていた身体の感覚が改善され、その後もその新しい感じ方が続いていくということになると思います。「ニューノーマル」という表現がうまく当てはまりそうです。「ニューノーマル」は以前の感覚とは違うため、奇妙な感じがして気持ち悪くて、しばらくは皮膚の感覚がおかしい状態でしたが、いい方向に向かっているということはわかっており、ただ慣れていないだけだと思っていました。その感覚が新たな生活に馴染むまでにはしばらく時間がかかりました。繰り返しになりますが、慣れるまでの期間は辛抱です。

 

遠慮せずに助けを求める

 

手術から回復するまでのプロセスはつまるところ、試行錯誤を繰り返し、辛抱強くその時を待つということです。自分のベストな状態は自分でわかります。必要な物、してもらいたい事を躊躇なく声に出しましょう。療養中は自分自身をお荷物だと思うようになり、その考えはその後しばらく続きました。自分自身で解決しなければならない問題だと思いこみ、がむしゃらに頑張っていました。誰かと話すまでは、自分がどんな状況にあるのかなんて誰もわかるはずがないとふと思い、苦しくなったこともあります。手術からの回復や安心できる環境づくりという観点から、自分に合った方法についてじっくり誰かと相談したり、自分で時間をかけて試してみてください。痛みや何か変化がある時、そして疑問が湧いた時には、遠慮せず家族や介護者、医療従事者に伝えてください。自分の状態について率直に伝え、支援制度に頼りましょう。回復は一人の力で達成するものではないのですから。

 

Dominga Noaさんについて

9歳でマルファン症候群の診断を受ける。カリフォルニア州出身。The Marfan Foundation ニューヨーク支部に2016年から勤務。現在はミズーリ州カンザスシティ在住で、TMFのマーケティング・デザインマネージャーを務める。長年にわたりTMFのボランティアに従事する初のマルファン症候群スタッフ。
 

出典:

blog.marfan.org

 

 

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