海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

ロイス・ディーツ症候群の診断

 

ロイス・ディーツ症候群かどうかを確認するには

 

2005年、新たに見つかった遺伝性結合組織疾患に、ロイス・ディーツ症候群(LDS)の名称が付けられました。一部の患者さんでは、LDSの診断が付くことにより、特定の特徴や医学的問題の説明が可能になりました。本文書には、LDSの診断が正しいものかどうかを確認するために必要なことが記されています。

 

不安がある場合は、内科や小児科のかかりつけ医に相談しましょう。かかりつけ医はLDSや結合組織疾患に詳しい医師を紹介してくれます。LDSに最も詳しいのは遺伝専門医です。遺伝専門医はマルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群、LDSなどの遺伝性疾患の診察を専門としています。一部の循環器内科でも、必要な検査や評価ができる場合があります。

 

遺伝専門医は以下のような方法で見つけることができます。

 

  • かかりつけ医に紹介状を書いてもらう
  • 近隣の病院で医師紹介サービスを利用する
  • American College of Medical Genetics (www.acmg.net)やNational Society of Genetic Counselors (www.nsgc.org)などのオンライン上の情報を利用する

 

他の結合組織疾患との比較でロイス・ディーツ症候群に多くみられる特徴を挙げる

 

あなたやご家族にみられる特徴を書き出す。以下のような特徴です。

 

  • 動脈蛇行(動脈のねじれ、螺旋状の動脈)
  • 動脈瘤や解離(大動脈以外)
  • 両眼隔離症(眼の間隔が広い)
  • 青みがかった強膜(白目が青色を帯びる)
  • 二分口蓋垂または横に広い口蓋垂口蓋垂=のどちんこ)
  • 口蓋裂(口の天井が裂けている)
  • 内反足(生まれつき足が内側・上側に向いている)
  • 消化器系の問題(消化不良や慢性的な下痢、腹痛、出血、炎症)
  • 食物アレルギーや環境アレルギー
  • 頚椎不安定症(頭蓋骨直下の頚椎が不安定)
  • 骨粗鬆症(骨のミネラル不足)

 

大動脈や動脈などを画像検査で調べる

 

あなたやご家族にみられる特徴を書き出す。以下のような特徴です。

 

  • 大動脈拡張あるいは大動脈瘤(全身に血液を送る大動脈が太くなる、瘤ができる)
  • 大動脈解離(大動脈の壁が裂ける)
  • 僧帽弁逸脱(僧帽弁がぴったりと閉じなくなる)
  • 漏斗胸(胸骨がへこむ)あるいは鳩胸(胸骨が突出する)
  • 側弯症(背骨がS字型になる)あるいは後弯症(背骨が前後方向に湾曲する)
  • 柔軟な関節
  • 扁平足
  • 皮膚の所見(アザができやすい、傷口が広がりやすい、皮膚が柔らかい、血管が透けて見える)
  • 脾臓あるいは腸の破裂
  • 妊娠中の子宮破裂

 

医師のところにリストを持っていく

 

医師に自分がLDSであると考える理由を説明する。以下のリストも用意すること。

 

  • 過去の病歴、手術歴、入院歴
  • 飲んでいる薬
  • LDSの確定診断がついた家族やLDSと思われる家族の情報

 

骨、関節、皮膚、顔など、LDSに関連する徹底的な身体検査を依頼する。

 

医師に検査を依頼する

 

検査には以下が含まれます。

 

  • 心エコー検査(心臓、弁、心臓に近い大動脈の部位を調べる超音波検査)
  • 遺伝子検査(LDSの原因遺伝子である TGFBR1・TGFBR2・SMAD3・TGFB3・TGFB2 遺伝子における病原性変異を調べる検査)
    他の結合組織疾患ではみられないLDSの特徴が現れている場合に最も有効。遺伝子検査のオーダーは主治医がおこない、患者さんを遺伝専門医に紹介する。オーダー内容には、動脈瘤性の症候群や結合組織疾患を引き起こすDNA変異を調べる動脈瘤パネルが通常含まれる。

 

上記のいずれかの遺伝子を対象とした遺伝子検査の結果、陽性あるいは、陽性の可能性が高いとなった場合、その患者さんは、ほぼ間違いなくLDSと考えられ、特別な医療ケアやカウンセリングを必要とします。陽性となった場合には、管理方法について医師に相談し、指示に従うことが極めて大切になります。また、家族内にLDSの方がいるかどうか確認することも重要です。

 

遺伝子検査が陰性の場合、現れている結合組織系の特徴は、遺伝性の症候群によるものと考えられますが、それらの特徴に関しては遺伝子的原因がまだ判明していないと考えられます。LDSが関わるシグナル伝達経路上には、いまだ発見されていない遺伝子が存在する可能性が高いということです。このケースでは、今後の正しい治療計画について医師と相談してください。新たな遺伝子は時間経過と共に見つかっていきますので、数年おきに動脈瘤パネル検査を受けることが適切かもしれません。治療の必要がある病気がないかどうか担当医に確認してください。

 

出典:

https://static1.squarespace.com/static/5be355670dbda39d591a525e/t/62166c922737e91a1d984582/1645636756462/LDSF_Correct+Diagnosis_Edited+2022-02-23.pdf

 

The Loeys-Dietz Syndrome Foundation, a division of The Marfan Foundation, did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, loeysdietz.org.

The Marfan Foundation の一部局である The Loeys-Dietz Syndrome Foundation は、当翻訳には関与しておらず、翻訳内容に関してはいかなる承認も行っておりません。このトピックに興味をお持ちの方は、 loeysdietz.org にアクセスしてください。