海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

マルファン患者 ナースになる

 

進学する大学や最初のキャリアに頭を悩ませることは、大半の若者にとって雲をつかむような話であり、恐怖を感じる道のりとなることもあります。マルファン症候群やマルファン類縁疾患の若者では、そうした感情や不安がさらに悪い方向に向かうことも考えられます。しかし、マルファン症候群のアレグラ・デルガルドさんにとって、こうしたハードルは問題になりませんでした。彼女には看護師になるという熱い想いが溢れていたからです。

 

仕事を選ぶ

 

マルファン患者としてのベストなキャリア選択は、患者さんそれぞれで異なります。新しいキャリアを始めたい、でも不安だし心配、というマルファン患者さんへ、アレグラさんからのアドバイスです。

 

「時間をかけてできる限りの情報を集めましょう。立ち止まりたくなったら、立ち止まればいいのです。でも再スタートを恐れてはいけません。待っている間に何らかのチャンスを失っているかもしれないからです。看護など多くの医療職では、身体や精神面でつらいこともあります。ですが、できることも多い職種ですので、ぜひ目指してもらいたいですね」

 

マルファン患者であるアレグラさんは、自身の経験からわかっていることがあります。体調が良い日と思った次の日には、身体がきつくなって冷や汗の出る経験をすることもあるということ。そして、キャリアのために時間やお金、精神的なエネルギーを費やしたとしても、報われないこともあるということです。それでも彼女は、マルファンだからといって夢を夢のまま終わらせてはいけない、と言います。

 

「本当にやりたいことであれば、どれほど時間がかかろうと、やるだけです」「やりたいことを追求することは私の責務だと思っています。たしかに、身体的につらいこともありますが、治っていきますし、配慮が必要であれば、その旨伝えるようにします。怖いからといって、なんでもかんでも尻込みしていてはダメなんですよ」

 

看護学校に通っていた頃、他の学生と同じことができないことを恥ずかしいと思ったアレグラさん。やれインターンシップだ、エクスターンシップだ、ボランティアだ、委員会だ、看護チームを結成しただのと経歴書に書き連ねる同期を尻目に、そのような経験をスケジュールに入れることは肉体的、精神的にできなかったといいます。与えられたチャンスを活かせなかったことで、自分は仕事をやっていけるのかと不安を感じたことと思います。

 

「実際に仕事をしてみると、現場で学ぶことができるので問題にはなりませんでした」「与えられたチャンスをものにできることは素晴らしいことだと思います。でも、それができないとしても落ち込む必要はないんですよ。前もって誰かに教えてもらいたかったことですけどね」

 

自分に合うように仕事を調整する

 

アレグラさんは、長時間立ちっぱなしの仕事に身体がどうなってしまうのか不安だと明かしてくれました。12時間労働が大半の日を占め、さらに複数のシフトをこなすこともあります。それでも彼女は、職場を自分に合うように変えるための解決策を見出しています。

 

6.3フィート(約190cm)で臀部と膝、腰に問題を抱えたアレグラさんには、職場での配慮が必要です。彼女は責任を果たす代わりに、配慮を求めることを勧めています。例えば、持ち上げたり、持ち運んだりする荷物の重さを制限してもらえるようお願いしたところ、病院に受け入れてもらえたそうです。アレグラさん自身でも工夫していることがあるようです。

 

「胴が長いので、イスは低く、モニターは高くしています。ちょっと変えるだけで、全然違いますよ」「それから、患者さんをケアをする時には、忘れずにベッドを高くするよう、同僚から声をかけてもらうようにしています。声をかけてもらうだけなんですが、毎日助かっているんです」

 

アレグラさんは将来のキャリアについては不安を感じていません。看護師の資格があればできることはたくさんあることがわかっているので、必要に応じてキャリアを修正することもできます。さしあたっては、身体と心をいたわりながら、看護師の研修期間を終えることに専念し、その後は、自身で作り出すチャンスを楽しみに待ちたいとのことです。

 

患者とのかけがえのない絆

 

患者さんについて学ぶことや患者さんとの会話のやり取りがアレグラさんの楽しみです。マルファン患者である彼女は、すぐに患者さんと関係性を築き、個人の立場で共感することができるのです。見た目ではほとんど気付かれない疾患ということで、彼女が慢性疾患を抱えていることがわかると患者さんは驚くようです。

 

「患者さんから『ものすごく痛いんだよ。お前なんかにこのつらさがわかってたまるか』なんて言われることがあるんですが、そんな時はその患者さんの目を見つめて『わかりますよ』と答えます。詳しく知りたいという患者さんには、私が受けた開胸手術のことやマルファン症候群が私の身体に与えた影響などもお話します。皆さん、私の経験談に勇気づけられるようです。マルファンの話を止めようとは思いません。自分にとってそれだけの価値があると思っていますから」

 

出典:

digitaledition.pub

 

The Marfan Foundation did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, Marfan.org, for materials approved by our Professional Advisory Board.

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