海外マルファン情報

米国マルファン症候群患者団体The Marfan Foundationからの情報を中心に、マルファン症候群や関連疾患についての海外情報を翻訳して発信します。

【2021/09/01更新】マルファン症候群・血管型エーラス・ダンロス症候群・ロイス・ディーツ症候群および類縁の遺伝性大動脈・血管疾患患者向けCOVID-19およびワクチンに関する最新情報

 

はじめに

 

The Marfan Foundation の専門家からなる諮問委員会(以下、専門家委員会)は、COVID-19のワクチン接種が望ましいとされる全ての方に、引き続きワクチン接種を推奨します。この中には妊婦や授乳中の女性も含まれます。

 

ワクチン接種後のまれな副反応(血栓の形成、心筋炎など)についての報告がありますが、最新の研究では、COVID-19感染後に生じるリスクの方がはるかに大きいとされています。マルファン症候群および類縁疾患の患者においては、ワクチン接種による潜在的なメリットが、生じうるリスクを上回るという、専門家委員会のこれまでの見解に変化はありません。

 

12歳未満の子どもに対するワクチン接種については、具体的な指針の発表を待っている段階であり、公表された次第お知らせします。

 

デルタ株と結合組織疾患

 

現在のところ、結合組織疾患患者がデルタ株に感染した場合の転帰に関する詳細なデータはありません。しかし、デルタ株は従来株よりも感染力がはるかに高く、2倍感染しやすいとされており、ワクチン未接種者においては、従来株と比べ、より重篤な症状を引き起こす可能性があります。2回のワクチン接種を終えた方では、デルタ株によるブレイクスルー感染でも、通常、それほど重症化しません。ですが、そのような方がデルタ株に感染した場合には、軽症あるいは無症状であったとしても、極めて大量のデルタ株ウイルスが上気道に存在することになります。そのため、そうした方が周囲にデルタ株ウイルスをまき散らすリスクがかなり高まり、子どもを含むワクチン未接種者に深刻な症状を引き起こす可能性があります。

 

結合組織疾患患者の中には、COVID-19による重症化リスクが高くなる疾患を抱えている方がいますので、主治医とご相談ください。

 

ブースター接種

 

専門家委員会は、結合組織疾患患者に対しワクチンの追加接種の対象者となった時点で、ワクチンを接種することを推奨します。免疫機能が低下している方は、ファイザー社製あるいはモデルナ社製ワクチンの追加(3回目)接種の対象となっています。対象者には以下が含まれます。

 

  • 固形がんあるいは血液のがんの治療を受けている方

  • 臓器移植を受け、免疫抑制剤を服用している方

  • 中度あるいは重度の原発性免疫不全症の方(ディ・ジョージ症候群・ウィスコット・アルドリッチ症候群など)

  • 進行したHIV感染症の方あるいは未治療のHIV感染症の方

  • 免疫反応を抑制するためコルチコステロイド剤等の高用量投与による治療を受けている方

 

免疫不全の方において、3度目のワクチン接種は医学的には「ブースター」接種とは考えられませんが、免疫不全ではない一般の方と同じレベルの免疫反応を獲得することを目的としています。新たにワクチン接種の対象者となった免疫不全の方は、どなたもワクチン接種を3回受けることになります。ただし、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンを接種した免疫不全の方は、追加のワクチン接種はまだ受けられませんのでご注意ください。今後追加の指針が発表されると思います。

 

先日CDC(米国疾病管理予防センター)は、ファイザー社製あるいはモデルナ社製ワクチンのいずれかを接種した方は全員、2度目のワクチン接種から8ヶ月後に追加(3回目)のワクチン接種を受けられると発表をしました。ワクチンに対する通常の初期免疫反応は時間とともに自然と効果が弱まりますので、これを補うためのいわゆる「ブースター」接種と呼ばれるものです。ブースター接種の優先順位は、最初のワクチン接種が行われた時と同様に、年齢、健康状態、職業などの指標により決定されます。医療機関にお持ちの病気について伝え、ブースター接種を受けてもよいかを確認してください。COVID-19から回復した方についても、同じ原則があてはまります。CDCおよび専門家委員会は、そのような方は通常のワクチン接種を受けるよう現在推奨しています。COVID-19を標的としたモノクロナール抗体による治療を受けた方、あるいはとりわけ重度の感染症を発症している方の場合、接種がしばらく遅れることになるかもしれません。これについても、医療機関で相談してください。

 

マスクによる保護

 

CDCの現行ガイドラインでは(ワクチン接種の有無に関わらず)誰もが、COVID-19ウイルスの発生確率や感染確率の高い地域では、屋内および混雑した場所でマスクを着用すべきとなっています。現状アメリカの大部分がこうした地域に該当し、状況は刻一刻と変化しています。これを鑑み、専門家委員会では、会員の皆さんがご自身および他の人を保護するため混雑した屋外や屋内全てでマスクを着用することを推奨しています。専門家委員会からの学校に通う子どもへの具体的な提言は、対面で学習が行われる環境ではマスクを着用すべきというものです。これらの推奨事項は現在のところ、お住いの地域によって異なり、厳格に義務化されているわけではないと思います。しかし、現在の公衆衛生環境では、皆さん自身やご家族、友人、コミュニティ、医療関係者、そして社会全体で罹患リスクの最も高い人々を保護するために、こうした最低限の煩わしい対策が求められていると信じます。

 

2021年9月1日

 

出典:

https://info.marfan.org/hubfs/File%20(1).pdf

 

The Marfan Foundation did not participate in the translation of these materials and does not in any way endorse them. If you are interested in this topic, please refer to our website, Marfan.org, for materials approved by our Professional Advisory Board.

The Marfan Foundation は、当翻訳には関与しておらず、翻訳内容に関してはいかなる承認も行っておりません。このトピックに興味をお持ちの方は、Marfan.org にアクセスし、当協会の専門家から成る諮問委員会が承認した内容をご参照ください。